大村高校応援歌のルーツは?
大村高校応援歌は全部で8曲あります。
第一応援歌、第二応援歌、第三応援歌、第四応援歌、選手推戴(すいたい)歌、壮行(そうこう)歌、凱歌(がいか)、そして三艇の賦(さんていのふ)です。
明治時代、そして大正時代に、旧制大村中学から旧制高等学校に進学した先輩方が、夏休みに帰省した時に、後輩に口述で伝えたものと言われていますが、オリジナルがどこの学校の歌なのか、忘れ去られ、調べられたこともありませんでした。
*資料:神奈川県立公文書館より
*当時、九州に高等学校は4校しかありませんでした。長崎には高等学校はありませんでした。
あらたに判明しました
報告させていただきます。まず、判明した二つ。
旧制一高(東大教養部)の「ああ玉杯(ぎょくはい)に花受けて」
大村高校「三艇の賦(さんていのふ)」が、旧制一高(東大教養部)の「ああ玉杯(ぎょくはい)に花受けて」
旧制一高(東大教養部)の「ああ玉杯に花うけて」の曲に合わせて、大村高校応援歌の「三艇の賦」を歌ってみてください。ぴったりです。
「三艇の賦(さんていのふ)」歌詞です。
大村高校の前身・旧制大村中学では、第一回生からは、二人の一高(いちこう)進学者が出ました。諫早高校の前身・旧制諫早中学からは、設立から一人も合格者が出ないまま終わりました。
大村卒の第一回生合格者の一人は、朝永三十郎(ともなが さんじゅうろう:ノーベル物理学賞受賞の朝永振一郎 博士のお父様です)博士。のちの京都大学教授です。
もう一人は、のちの大阪大学第二代学長となる楠本長三郎(くすもと ちょうざぶろう)博士。
朝永三十郎先輩と同期の、楠本長三郎先輩は、東大医学部をトップ卒業なのですが、人生で一度大きな敗北を味わっています。大村を卒業後、旧制一高(東大教養部)の入試に落ちています。浪人中、現役で先に旧制一高に合格した大村の同期・朝永三十郎から励まされて、捲土重来(けんどちょうらい)で再挑戦し、合格されました。
大阪大学初代総長(学長)は、大村の長岡半太郎先輩(大村高校の前身・五教館出身)、そして二代総長は楠本長三郎先輩です。
旧制三高(京都大学教養部)の「紅萌(くれないも)ゆる岡の花」
大村高校「壮行歌」は、旧制三高(京都大学教養部)の「紅萌(くれないも)ゆる岡の花」
「紅萌ゆる岡の花」は十一番までありますが、大村高校壮行歌は三番までです。
*読み方
1.男子(だんし)一度(ひとたび)立たん時
2.風雲 逆巻(さかま)き襲いきて
男子(おのこ)の脾肉(ひにく)
3.悠久(ゆうく)の義に生きんかな
今回わかったのは、旧制五高(熊本大学)の「武夫原頭(ぶふげんとう)に草萌えて」
次に、今回わかったのは、大村高校第三応援歌が、旧制第五高等学校(熊本大学)の「武夫原頭(ぶふげんとう)に草萌えて」だということです。
旧制第五高等学校(熊本大学)の「武夫原頭(ぶふげんとう)に草萌えて」
動画
歌は31秒より
動画のメロディーにあわせてうたってみてください。すぐわかるとおもいます。
大村高校第三応援歌 歌詞
ちゃんと2番に、五高の「武夫原頭(ぶふげんとう)」がオリジナルとわかるように「玖城原頭(くじょうげんとう)」となっていました。
マンガになった五高の「武夫原頭(ぶふげんとう)に草萌えて」
なお、マンガに「あゝ五高 武夫原頭に草萌えて」があります。
四高の校長は、大村の先輩でした
歌のほうはまだ調べていませんが、旧制四高(現、金沢大学)の校長は大村の先輩が就任され、武道場も大村の先輩が題字を揮毫(きごう)された事実があります。
四高の武道場は、愛知県犬山市の明治村に現在もそのまま保存されています。揮毫(きごう)は、石川県金沢市の四高記念館に保存されています。
音楽著作権にうるさい方へ
さて、大村高校のみならず、伝統校として旧制中学から続く学校応援歌は、ほとんどが、旧制高校から伝わったものだといわれています。伝聞は実証され、昔、旧制大村中学から、東京、そして京都の旧制高校に進学された先輩の皆様方が、他の伝統校と同様、旧制高校の文化を、旧制中学の後輩に伝えたという証拠になっていると思います。
補足:この当時は、音楽著作権のルールは日本にはありませんでした。また、現在のルールで日本の音楽著作権は50年(たとえばメキシコは100年など、国によって違います)です。
したがって、50年以上の年月がたっているので、大村高校や他の伝統校で、旧制一高(現、東大)歌や、旧制三高(現、京大)歌を利用しても問題はないと思います。音楽著作権のある旧制一高、旧制三高が消滅していますし、作詞・作曲されて50年以上たっていますし、関係したすべての方が、すでに他界されていますので。
また、むしろ、旧制高校文化をそのまま残しているという歴史の連続・継続性のほうが、賞賛に値するのではないかと思います。
終わりに
残された、第一応援歌、第二応援歌、第四応援歌、選手推戴(すいたい)歌、そして凱歌(がいか)のオリジナル、わかりしだい投稿させていただきます。