子供の頃、祖父母は、野原からドクダミを採集し、葉を乾燥させ、その葉を煎じてお茶のように飲んでいた。ドクダミは薬草で、高血圧に効用があると言っていた。実際に、高血圧にはならなかったし、痴呆にもならなかった。
大学病院の臨床医で、大学准教授で、博士号を持ち、論文も多数執筆している女性の医師(妻の高校時代のクラスメイト)が、アルツハイマーの薬は数種類しかなく、効果があるのは僅(わず)かだと言っていた。
その、アルツハイマー薬の一つの名前はアリセプトというそうだ。
アルツハイマーに、今のところは、一度なったら治ることはなく、症状を遅らせるだけということになる。また、たくさんあるように思えるが、本当の花粉症の薬も数種類しかないということも聞いた。
さて、薬はどうやって創(つく)られているのだろう?考えたことはないだろうか?どこかで、だれかが、研究開発し、量産されているから、医師・薬剤師・薬局を通じて、手元に届く。
物は、誰かが考え、設計図を描き、試作品ができ、うまくいったら、量産され、手元に届くことになる。手元のボールペンも、時計も、パソコンもスマホも。
そう思っていたら、本屋で「新薬に挑んだ日本人科学者たち」という本を見つけた。
この本は、薬がどうやってできているのかをレポートしたもの。アルツハイマーの特効薬アリセプトは、偉い大学の先生が考えたものではなく、工業高校を出た人が研究・開発し創薬された。
創薬という分野に進みたい人は、進路は、この本に登場する方々の経歴を参照するとよいでしょう。
面白いのは、医学部に進学したが、血をみるのがイヤで解剖ができなくて、薬学部に再入学して、薬の開発にまわった人がいること。
ほか、欧州は、中世の錬金術(れんきんじゅつ)からの伝統で化学が発達しているので、歴史の厚みがある。欧州に薬品の大手会社があるのは、その伝統のため。
昔、大村高校の化学の先生が、フランス革命がなかったら、化学はもっと発展していたと話された。ラボアジェなど、当時の化学者は、革命で、無実の罪で、処刑されたからという話だった。
忘れているかもしれないが、ノーベル賞はどうやってできたのか?戦争に使用する火薬とダイナマイトで儲けた資金で設立された財団から授与されることを、知っておいたほうがいいでしょう。戦争と科学の発展はつながっているようです。
最後に、薬に興味がある人は一読の価値があるので、おすすめします。