日本の軍備拡張が必然な理由:日米印「アジア太平洋戦略」V.S. 中国「一帯一路」戦略

戦略がぶつかると、遅かれ早かれ戦争になる(第一次大戦のドイツ・3B政策、イギリス・3C政策、ロシア・南下政策)。現在、中国はアジアの覇権を目指し、太平洋・インド洋の支配を狙い、侵略を決してやめない。地域で覇権を目指すと、アメリカと衝突する。すでに、日本・アメリカ・インドのアジア太平洋戦略と、中国の一帯一路は衝突している。

地政学者・奥山博士の放送とブログより引用(2014年)より

2014年のものですが、現在の状況が当たっています。

この番組は、首都圏(しゅとけん、東京・神奈川・千葉・埼玉)でのみ放送されたものです。

アメリカの戦略(ブログ:地政学を英国で学んだより引用)
「アメリカはライバルの出現を許さない」

●結論としては、アメリカは賢明な戦略的理由によって、西半球における覇権を維持するために百年以上もがんばってきたのだ。地域覇権を達成してしまったために、今度は他の大国がアジア、もしくはヨーロッパを支配するのを阻止するために多大な努力をしてきたのである。

●したがって、もし中国がアジアを支配しようとした場合に、アメリカの政治家たちがどのような反応を示すのかはかなり明確だ。アメリカは中国の封じ込めのために努力するだろうし、最終的にはアジアを二度と牛耳ることができないレベルまで弱体化させようとするだろう。

●よって、アメリカは実質的に、冷戦時代のソ連に対するようなやり方で中国と対峙することになる公算が高い。

●中国の周辺国は、その台頭を恐れるのが確実であり、彼らも中国が地域覇権を達成するのを防ごうとして、出来る限りのことをしてくるはずだ。

●その証拠に、インド、日本、そしてロシア、またはシンガポール、韓国、そしてベトナムのような小規模な国までが中国の台頭を恐れており、それを封じ込めるための方策を考えているのだ。

●結局のところ、彼らは中国の台頭を阻止するために、アメリカ主導の「バランシング同盟」(balancing coalition)に参加することになるだろう。これは冷戦中に、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、日本、そして中国でさえも、アメリカ側につい てソ連に対抗した構図と似ている。

アメリカはライバル(中国)の出現を許さない
この放送は、首都圏(しゅとけん、東京・神奈川・千葉・埼玉)でのみ放送されたものです。 【ニコニコ動画】【奥山真司】ザ・ボイス そこまで...

【動画】中国の一帯一路は失敗か

日本の国土 海が含まれる。

日本の国土
海が含まれる

地政学者・奥山博士のメルマガより(2015年)

2015年のものです。

■それでも米中は必ず衝突する■

―― アメリカの対中政策に対する不満から、
日本では「アメリカは中国の言いなりだ」、「アメリカと中国は野合している」といった議論も行われるようになっています。

奥山

それは当たっている部分もあると思いますが、必ずしもそうとは言い切れません。というのも、大国同士は必ず衝突するものだからです。

この点については、アメリカのリアリスト、ジョン・ミアシャイマーの『大国政治の悲劇』の議論が参考になります。

ミアシャイマーの議論で重要なポイントは、「大国は必ず地域覇権を目指す」という点です。
どういうことか。以下、手短に説明します。

国際社会はアナーキーであり、国家は常に他国の潜在的脅威にさらされています。それ故、国家は自国の生き残りを図るべく、他国よりも国力をつけようと努力します。

しかし、ライバル国に比べてどれほど力をつければ安全であるかを正確に計算することはできません。他国の2倍の力を持てば安全というわけではないからです。

それ故、国家は国際社会における唯一の大国になること、すなわち覇権を達成しようとします。他の全ての国家を支配できるほどの大国になって初めて、国家は安心することができるのです。

もっとも、現実には他の全ての国家を支配する「グローバル覇権」を達成することは不可能です。

そこで大国は、ある特定の地理的領域を支配する「地域覇権」を目指すことになります。

地域覇権国というものは、他の大国が地域覇権を目指すことを許しません。他にも地域覇権国が存在すれば、自国が安全だとは言えないからです。それ故、大国は他の大国が地域覇権を握ろうとする時、必ずそれを潰そうとします。

実際、かつて大日本帝国が東アジアで覇権を握ろうとした際、アメリカはそれを潰しにかかりました。現在中国が同じように東アジアで覇権を握ろうとしていますが、アメリカは必ずこれも抑えにかかります。ただ、アメリカは自ら抑え込むのではなく、代わりに日本を中国にぶつけるといった方法をとるでしょう。

こうしたところからもわかるように、大国政治は基本的にゼロサム・ゲームです。バランス・オブ・パワーを自国にとって有利な方向へ変化させようと争っている以上、ウィン・ウィンの関係はあり得ません

「米中は経済的に互恵関係にあるから衝突することはない」といった議論もありますが、それは間違いです

大国政治においては、安全保障の方が経済よりも圧倒的に重要です。経済的に親密な関係にあるからといって衝突が起きないとは言えません。もちろんこれは現在のドイツとロシアについても言えることです。

これがミアシャイマーの重視する国際社会の「構造」です。いかなる国家であろうとも、この構造から逃れることはできません。

中国が覇権を目指すのも、それは中国が大国だからであって、中国が「悪い国」だからではありません。

米中衝突が避けられないのも、それは米中が「大国」だからであって、オバマ大統領と習近平主席が個人的にどのような意図を持っているかとは関係ありません。もし仮に二人の間に強い信頼関係があったとしても、米中衝突は起こる時には起こってしまうのです。だからミアシャイマーは大国政治を「悲劇」だと言っているわけです。

もちろん、現実の国際政治を見れば、国家のリーダーの意図が大きな影響を与えていることは否定できません。そうした観点を無視するわけにはいかないのです。しかし、日本ではとかく国際社会の「構造」という側面が見落とされがちなので、この点は強調しておいた方がいいと思います。

( おくやま )

アメリカと中国は必ず衝突する
新聞より参考になると思いますので、紹介しておきます。 動画:地政学者 奥山博士 米中は必ず衝突する! 奥山博士のメルマ...

現在のアメリカ軍基地の配置図を見ると中国を封じ込める展開になっています。

NHK:スティーブバノン氏インタビューより抜粋(2017年)

2017年のものです。インタビュー動画は元記事リンク先にあります。

――― トランプ大統領は、日本に対して高度な兵器を購入するよう求めました。大統領は日本に対してどのような役割を期待しているのだと思いますか?

バノン氏: それを考えているのが大統領なのかどうかは私には分かりません。安倍総理大臣らが語っているように、日本は憲法改正を検討しており、自衛隊を持つことをやめて再び軍事大国になることを検討しているかもしれません。トランプ大統領が言っているのは、太平洋における日本の役割や、その戦略における日本の中心的な役割からすれば、日本は軍事力を徐々に強化するだろう、ということでしょう。

そして私たちはとても緊密に協力しているため、その一部がアメリカの兵器システムになることは当然でしょう。それがトランプ大統領の発言の意味だと思います。つまり、それは日本が軍事力を取り戻すための自然な進化です。特に北朝鮮や西太平洋の他の地域で起きていることを見れば、今はかなり危険な時期です。日本が今、再軍備を考え始めることは理にかなっています。

――― しかし、北朝鮮問題は行き詰まっているように見えますが…

バノン氏: それはあなたの意見です。私は全く行き詰まっているとは思いません。なぜあなたが行き詰まりという言葉を使うのか私には分かりません。(北朝鮮問題は)動いています。進行中なのです。北朝鮮のような問題は、一夜にして解決できるものではありません。私たちがここに至るまでに30年、40年かかったのです。人々は、「彼らは核プログラムを持っていなかった。彼らは核プログラムを持っていなかった。彼らは核プログラムを持っていなかった」と言います。

今、私たちは彼らが核プログラムを持っていることを知っています。つまり、ここに至るまでに何十年もかかったのです。誰かが現れて魔法の杖を振ってくれるわけではありません。そしてこの問題を一夜にして解決することもできません。これは進行中なのです。トランプ大統領はそのプロセスに携わっていると思います。彼は個人的にそのプロセスに関わっています。

ほら、これこそが私が“反対派”と呼ぶ人々です。NHKは十分に、その“反対派”としての役割を果たしています。私はこれからNHKのことを、まさにニューヨーク・タイムズのようなメディアだと呼びましょう。あなたたちは日本のCNNに違いない、そうでしょう? あなたたちは「行き詰まり」といった挑発的な言葉を使います。「それは行き詰まりに違いない」と。それは行き詰まりではありません。全く行き詰まりではありません。実際には進行中です。トランプ大統領はそのプロセスを進めています。だからこそ彼は、さまざまな選択肢があると言っているのです。だからこそ彼は、ここに空母打撃群を派遣しているのです。それはすべて、戦略的なチェスの試合の一部です。その中で、日本は私たちを助けてくれるすばらしい同盟国です。しかし、安倍総理大臣やトランプ大統領のようなとても賢い人々がいます。彼らはそのようにして、これらの問題の解決に取り組んでいます。

――― つまり、それは…。

バノン氏: あなたが北朝鮮に関する質問を私に尋ね続けることこそが“行き詰まり”なのです。これこそが行き詰まりです。さあ来い、あと何問か質問して来なさい。

――― しかしあなたは、中国は覇権国家になろうとしている、とも言われましたね。

バノン氏: はい、覇権です。

――― アジアの覇権国家です。

バノン氏: はい。

リンク先に動画あり:インタビュー全文はこちら

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