一般的な料理の本は、きれいな料理写真、材料、下ごしらえ、そして作り方だけが書いてあります。とにかく、何も考えずに、本に書かれているように、材料を準備して、下ごしらえして、調理すれば、できあがります。便利で、手軽です。
しかし、応用が利(き)きません。書かれている以上には、料理のバリエーションが拡大していかないのです。ただ、本の通りに作って、料理法を暗記するだけではダメで、理論的なことを体系的に基礎から学ばなければ、応用に拡大していかないのです。
そこで、このシリーズ本の登場となります。
「応用自在な調理の基礎」日本料理、西洋料理、中華料理とシリーズになっています。日本料理版は、30年間で29回も増刷され、しかも改訂されているので、一定の購入層があるのでしょう。高校の家政科、大学の家政学部、料理研究家、料理学校の方、あるいはプロの料理人の方が購入しているのでしょうか。
この本の特長は、料理の写真が一切ないことです。料理が写真ではなく、高校の数学で習うフローチャートで理論的に解説してあります。
たとえば、おでんの作り方。
すきやきの作り方、関西風と関東風の違い。味以外に、材料を投入する順番が違うのです。
ゆでる、だしを取る、煮る、蒸す、炊く、焼く、揚げる、練る、あえる、なまもの調理、日本料理の献立構成、そしておせち料理に関して、それぞれの定義、目的、用途からはじまり、実際の調理方法が書かれています。まるで、徳川幕府の調理方に伝わる秘伝とされた巻物に書かれたような、理論から実際のやり方まで体系的に解説された本なのです。それぞれが、文字とフローチャートにより図示されています。
料理の理論を学び、基礎から応用に発展させたい方、(男性の場合)彼女ができて彼女に料理を自慢したい方、バリエーションを広げたい方、なんとなく料理するのではなく背景の知識を深めたい方におすすめします。
なお、フローチャートに関しては、この本の序論で解説されていますので、高校時代に数学が苦手だった方でもわかるようになっています。