江田島の五省(ごせい)とアナポリス

アナポリスとは、米海軍兵学校があるメリーランド州の町。日本の海軍兵学校が、広島県江田島にあったことで、海軍兵学校を「江田島」と呼ぶのと同じで、「アナポリス」と言えば、米国の海軍兵学校をさすことと同じ意味を持ちます。

メリーランド アナポリス

さて、五省(ごせい)は、戦後にアメリカ海軍幹部が、江田島に掲示してあった五省の内容に感銘を受け、英訳文をアナポリス海軍兵学校に掲示したものです。

防衛省 海上自衛隊のページより

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映画:アナポリス

英訳:アナポリスでは、英語古文で掲げられているそうです。

【五 省】
Five reflections

一、至誠(しせい)に悖(もと)る勿(な)かりしか:誠意をもって取り組んだか
  英語古文:Hast thou not gone against sincerity ?
  現代英語:Have I compromised my sincerity?

一、言行(げんこう)に恥(は)づる勿(な)かりしか:恥ずかしい言動・行動はなかったか
  英語古文:Hast thou not felt ashamed of thy words and deeds ?
  現代英語:Have I spoken or acted shamefully?

一、氣力(きりょく)に缺(か)くる勿(な)かりしか:気力は充分だったか
  英語古文:Hast thou not lacked vigour ?
  現代英語:Have I been lacking in spiritual vigor?

一、努力に憾(うら)み勿(な)かりしか:最善を尽くしたか 
  英語古文:Hast thou not exerted all possible efforts ?
  現代英語:Must I regret the level of my effort?

一、不精(ぶしょう)に亘(わた)るなかりしか:怠けなかったか 
  英語古文:Hast thou not become slothful ?
  現代英語:Have I lapsed into laziness?

日本国内では、もちろん海上自衛隊が日々の行動を自省する標語として用いているそうです。現在、海軍兵学校の後継にあたる海上自衛隊幹部候補生学校及び海上自衛隊第1術科学校においても、五省が旧海軍の伝統として継承されているそうです。

なお、五省(ごせい)を制定したのは、当時、海軍兵学校校長であった松下元(まつした はじめ)少将。

福岡県久留米市の伝統校である旧制明善中学を経て、1903年12月、海軍兵学校(31期)を卒業し、翌年9月、海軍少尉任官。

明善と言えば、九州伝統五校の一つです。
九州伝統五校

五省(ごせい)を制定した、松下元(まつした はじめ)少将は、日露戦争では「松島」乗組として出征。日本海海戦では「八雲」乗組員でした。

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