今年(2015年)のノーベル文学賞受賞者は、ベラルーシ(白ロシア)のスヴェトラーナ・アレクサンドロヴナ・アレクシエーヴィッチ(上記写真)という人でした。
実は、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチさんの著書は6冊あり、6冊中、英語に翻訳されたものは3冊だけ。しかし、日本語に翻訳されたものは5冊あります。
英語圏以外のものを受け入れる場合、日本語のほうが、英語より翻訳が多い場合があります。
海外の優れた文化を受け入れることに対しては、日本語圏のほうが英語圏よりゆたかな社会と文化を持っていると思えます。
なお、ドイツ語には6冊中6冊が翻訳されていますが、フランス語には翻訳されていません。中国語にも翻訳されていません。(この例から見れば、ドイツ語圏も日本語圏と同じ傾向)。
前にも書きましたが、もう一度繰り返しておきます。
実は、ほとんどの場合、日本で英語は必要ないでしょう。なぜ、日本がTOEFLやTOEICの点数が悪いかと言えば、英語がなくても、生活、学問、そしてビジネスも、ほぼ困らないから、熱心に学習する必要がないからなのです。
アジアで、日本以外の国では、外国の文献、論文、文学作品、書籍は、翻訳がなされず、英語が読めない場合、研究も鑑賞もすすまない実情があります。
日本の場合、外国の最新の本が、数ヶ月で日本語に翻訳され出版されます。日本語が読めれば、日本では、小学生でさえ、専門書籍を読むことができる環境があります。
2015年ノーベル文学賞のスヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチさんに関して
日本語に翻訳された著作5冊
1.У ВОЙНЫ НЕ ЖЕНСКОЕ ЛИЦО (1984) – 邦訳『戦争は女の顔をしていない』 三浦みどり訳、群像社、2008年。
2.ПОСЛЕДНИЕ СВИДЕТЕЛИ (1985) – 邦訳『ボタン穴から見た戦争』 三浦みどり訳、群像社、2000年。 – 原題は『最後の生き証人』。
3.ЦИНКОВЫЕ МАЛЬЧИКИ (1991) – 邦訳『アフガン帰還兵の証言』 三浦みどり訳、日本経済新聞社、1995年。 – 原題は『亜鉛の少年たち』。
4.Зачарованные смертью (1994) – 邦訳『死に魅入られた人びと―ソ連崩壊と自殺者の記録』 松本妙子訳、群像社、2005年。
5.ЧЕРНОБЫЛЬСКАЯ МОЛИТВА. ХРОНИКА БУДУЩЕГО (1997) – 邦訳『チェルノブイリの祈り』 松本妙子訳、岩波書店、1998年。
日本語圏で翻訳されているのは著作6冊中、上記5冊。英語圏で翻訳されているのは、1,3,5の3冊ですが、ドイツ語圏では著作6冊中6冊すべてが翻訳してあります。